倉敷帆布 BAISTONE 株式会社バイストン コーポレートサイト

社長連載コラム「倉敷帆布と私」

第四回 「職人のプライドをかけた細幅織機開発」

第3回『職人のプライドをかけた細幅織機開発』

九州・博多の夏の風物詩といえば「博多祇園山笠」。
舁き手たちの荒々しく力強い姿と、美しく飾られた山笠が印象的な行事です。


941年、1432年、1241年など、起源には諸説ありますが
とにかく長きに渡り、伝統的な神事として守られてきた行事。


この山笠の舁き手たちが締める「締め込み回し」を
倉敷帆布で織ってもらえないか、という依頼が舞い込んだのは
もう20年以上前の話になります。



それまで「広幅」の帆布生産を行っていた弊社にとって
締め込み回しに求められる細幅の帆布を織るのは未知の領域でしたし、
生成りに加えて紺地でも織ってほしいとの依頼は
色糸の混入など従来の「白い帆布」に影響を与えるのではと不安もあり。


創業以来「広幅帆布」「白い帆布」を織る事に努めてきた私たちにとっては
いろいろとハードルの高い依頼内容でした。



しかしちょうどその頃の私は
社会人になってまず勤めた大手百貨店を中途退職し
帆布工場に戻って試行錯誤していた時期。


この難しい依頼を「新製品開発」のチャンスと捉え
なんとか自分の工場で細幅・先染の帆布生産を実現できないかと
当時の工場長・渡辺国弘氏をはじめとした職人たちに話を持ち掛けました。



“倉敷帆布のこの先を考えていること”
“付加価値の高い帆布生地を生み出していきたいこと”
“そのために細幅が織れる織機を自分たちで開発したいこと”


細幅・先染が実現した先にある姿を一緒に見据えられるよう
私にできる限りの言葉で思いを伝え、
何とか熱意が通じたのか、職人魂に火をつけることができ、
倉敷帆布工場内での細幅織機開発がスタートしました。



それから約1年。
ついに細幅織機が完成しました。


その開発方法はなんと
「広幅の織機を分断し、一部を切り取り、再接合する」
というなんとも大胆な方法。
開発方法も納期も渡辺前工場長に一任してはいましたが
さすがに報告を受けた時には脱帽でした。


もちろん、切って接合しただけでは、織機は全く動きません。
ビーム・筬・ドロッパー・シャフト・ロールなど、
織機に関わる全てのパーツもまた、同じように開発を行って
それでもなお、何度も試行錯誤を経ての、完成となったのです。


実際に稼働し始めた日を記念して
織機には「H5.9.17」の文字が書き込まれています。



博多祇園山笠の案件で開発した細幅織機は今、
JOBUをはじめとしたオリジナル帆布開発において
倉敷帆布にとって欠かせない高付加価値帆布を生み出しています。


難しいことに挑戦したからこそ、今の倉敷帆布がある。


風変わりな織機が稼働したおかげか、
新製品開発への熱意がじわじわ浸透していったのか、
次第に帆布工場内にも新しい風が吹き込み
自分たちが生産している帆布の客観的な価値・評価が伝わり始めました。


「良い帆布を作りたい」という思いに
「この帆布を未来に残したい」といった愛情のようなものを
職人たちも持ってくれている。
最近ひしひしと、そんな風に感じています。


バイストンを立ち上げ、倉敷帆布というブランド名を付けてから12年。
帆布の評価とともに、工場も職人も、前に進んでいます。




次回は8月、いよいよ創業12周年を迎えるにあたり、
今の思いをお話ししたいと思います。またぜひお付き合いください。



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